「中小企業経営・政策」の攻略にあたり、2009年度からの科目合格率を調べてみました。

2.89% →24.2% →5.14% →17.43% →16.87% →31.15%

2014年度は、近年にないほどの高い合格率です。そのため、2015年度は、厳しい年になる可能性があります。少なくとも合格率が30%付近になることはないと思われます。

したがって、今、改めて考えなければならないことは、この科目が「得意」なのか「苦手」なのか、そして「勝負」するのかしないのか、です。

得意なら狙いは、60点~65点苦手なら50点~55点。この科目で科目合格を狙うほどがんばらなければならないのか、他の科目で稼げるのか、によって努力の程度は違ってくるでしょう。そして、この「中小企業経営・政策」を含めて受験する科目が少ない場合、すでに科目合格している得意な科目があれば免除しないで受験する等も考える必要があります。
まずは、優先度」や「努力の程度」を考えましょう

 

この科目の学習方針は、比較的明確です基本的には「覚える」ことになります

では、何を覚えるのかになりますが、優先度順に以下のようになります。そして、重要なのは「中小企業政策で安定的に稼ぐこと」です。「小規模企業白書」が出ましたが、今年はあまり気にしないほうが良いと思います。

1.中小企業政策でいつも問われる政策・法律
2.中小企業の附属統計資料の数値・傾向(企業数、業種別構造、財務状況、開廃業など)
3.中小企業白書の重要論点
4.中小企業白書のグラフなどの数値
5.中小企業政策の重点施策
6.中小企業政策の施策関連図、制度趣旨

 覚え方は、基本的には、「マーク」や「教材への書き込み」「手で書き出す」ことです。そして、何度も見直しをすることではないでしょうか。 パソコンできれいにまとめてもいいですが、結構時間がかかると思います。まとめたことに満足して、覚えることをしなかったのでは本末転倒です。

・・・一つお伝えし忘れていました。非常に効果の上がる覚え方があります。それは、勉強会で議論することです。勉強仲間と話し合った問題は、忘れにくいです。「あの時話した問題だ」と、クリアに思い出されるといった経験はいくつもあります。

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1.中小企業政策でいつも問われる政策・法律」は、分野別に整理された過去問題集などで、同じ政策について問題を続けて解いてみるのがベストです(同友館の「過去問完全マスター」などがおすすめ)。何度も同じようなことが問われていることがわかりますし、記憶も定着します。また、TACのスピードテキストなど、政策ごとに出題年度と設問番号が書いているテキストで「再確認」することです。スピードテキストは、過去に出題された論点は、必ず反映するように改訂されるので、過去に出た論点をほとんど拾うことができます。

 

2.中小企業の附属統計資料の数値・傾向」は、スピードテキスト(TAC)のはじめのほうに、非常にうまくまとめられています。時間がなければ、これだけでも覚えるようにします。また、時間の許す限り中小企業白書の後ろにある「附属統計資料」を印刷し、自分なりにマークして覚えます。ここで重要なのは、細部にこだわりすぎないことです。本番の試験で選択肢を絞り込むことができるような規模感や数量感などの「感性」を磨くことに重点をおきましょう。

 

3.中小企業白書の重要論点」は、「中小企業白書(概要)」で重要な箇所をつかみます。中小企業白書を読み込めればそれが一番良いですが時間的には厳しいでしょう。ですがこの概要資料だけはおさえるべきです。ところで、「過去問の白書部分は2度とでないからやっても無駄」とよく言われますが、じっくりやらないにしても、解答をすぐ見て問題集に書き込むなどして、一読をすることをお勧めします。出題の傾向や観点がつかめますし、統計問題などは、もう一度出題される可能性も高いと思います。そして、ここでも重要なのは、本番の試験で選択肢を絞り込むことができるような「感性」を磨くことです。診断士の試験で共通していえることですが、 すべてを網羅して勉強することは、不可能です。したがって「これはありえない」という選択肢をいかに排除できるかが非常に重要となります。

 

4.中小企業白書のグラフなどの数値」は、中小企業白書がいいのは、もちろんですが、時間がない場合は、「特訓問題集 中小企業経営・政策 中小企業白書(TBC)」のはじめにある「全体構造攻略編(約5~6ページ)」がおすすめです。ここだけでもかなり得点になります。実際に昨年度の試験でもこの5~6ページをおさえているだけでズバリの出題もありました。

 

5.中小企業政策の重点施策」は、「中小企業施策利用ガイドブック」のはじめのほうにある「重点施策」をチェックすることです。また、「中小企業・小規模事業者対策のポイント(中小企業庁)」も参考になります。後者は、予算が補正された施策がまとまっていて、出そうな雰囲気が漂っています。これらは、深追いは禁物ですが、重点施策や施策の変更点は問われる可能性が高いですから、少しでも勉強時間を確保したいところです。出題されれば、当然有利になります。

 

6.中小企業政策の施策関連図、制度趣旨」は、余裕があればということになります。おすすめは「特訓問題集 中小企業経営・政策 中小企業施策総覧」(TBC)の「重要図表編」がいいと思います。施策の体系や制度趣旨を理解できていれば、迷った場合の選択肢の絞り込みに有効です。

 

仕上げには「模擬試験」やスピード問題集の前半(白書)予想部分に取り組むことです。模試は受けるのに2日とられますし、復習する時間も確保しなければならないこともありますので、体験をしたい場合を除き、私は模擬試験は「受けなくても良い派」なのですが、中小企業経営・政策だけは、受験校の予想情報が有益だと思います。できるだけ、勉強仲間で各受験校の模試を見せてもらうのがいいと思います。どの受験校も目をつけている施策は要注意です。また、時間の許す限り、出題された個所を白書にマークを入れるもの有効です。

模擬試験の時間がもったいないと思う方は、良い方法があります。
「中小企業診断士1次試験完全予想模試」のようなものを購入すれば、模試を受けるよりもずっと安価で、確認したいところだけをみて、模試をうける2日分も別の勉強にあてることができます。

それから、受験会場で配布される受験校の「最終チェックシート」について。基本もらわなくてもいいのですが、中小企業経営・政策は、確認しても損はないのかなと思います。

 

以上、たくさんのことを述べましたが、すべてを実施しましょうということではありません。冒頭でも書いた通り、優先度や努力の程度を考えてやりましょう。ということです。

ところで、弱小診断士勉強会では、昨年度「中小企業経営・政策」の特別イベントを実施しています。今年も実施する可能性があります。ご期待ください。

中小「試験直前! 大ヤマ当て大会」
中小「試験直前! 大ヤマ当て大会」を終えて

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中小企業経営・政策は、最も教材が多くなる科目です。上記で触れたものは、以下にまとめておきます。

A.過去問題集(分野別になったものが効率的)
B.スピードテキスト(TAC)
C.スピード問題集(TAC)
D.「中小企業白書」(中小企業庁)
E.「中小企業白書(概要)」(中小企業庁)
F.中小企業白書の後ろにある「附属統計資料」
G.「中小企業施策利用ガイドブック」(中小企業庁)
H.「中小企業・小規模事業者対策のポイント」(中小企業庁)
I.「特訓問題集 中小企業経営・政策 中小企業白書」(TBC)
J.「特訓問題集 中小企業経営・政策 中小企業施策総覧」(TBC)
K.「中小企業診断士1次試験完全予想模試」(AAS)
L.受験会場で配布される受験校の「最終チェックシート」

 最後に、中小企業経営・政策で重要なのは、中小企業政策で安定的に稼ぐこと」、そして「中小企業白書」の問題では選択肢を絞り込むことができるような規模感や数量感などの「感性」を磨く勉強をすること、かと思います。

皆さんがんばりましょう。それではまた。

 

2015.05.23 H27年度 副会長 甲田