どもども、山本 尚幸です。

今回は、中小企業診断士試験の2次対策においては、知らぬ人はいないと思われる、バイブル「ふぞろいな合格答案(以下、ふぞろい)」について、
私なりの利用方法について、ご紹介したいと思います。


*あくまで、山本個人の使い方です。

*写真の書籍は、2015年度試験のものです。

ふぞろいは、その年の2次試験受験者から実際に試験時に提出した答案を再現した「再現答案」を集めて分析、
のちに送られてくる判定と比較して、「どんな解答文章が高評価であったか」についてまとめたものです。


ふぞろい書籍のメリットについて

ふぞろいがとても広まっている理由として挙げられるのが、「キーワードベースの評価方法」を採用していることがひとつあげられると思います。
この方法のメリットとして、

  • キーワードを探すだけなので、採点しやすい
  • 定量的に採点されるため、他者や過去の解答と比較しやすい
  • どんなキーワードを抽出できればよかったか、次回の試験対策に生かせる

ということがあげられると思います。

私も受験生時代には、初受験して落っこちた年の「合格答案」と、3年分を集めた「答案分析」を購入して、
試験対策に利用しておりました。
その際の利用方法としては、やはりキーワードベースの採点により、自身の答案を定量的に評価するというものです。
同じ年度の問題を定期的に解いて採点することで、自身の上達ぶりを記録していくことができます。


ふぞろい書籍の活用する際の留意点

さて、このようにふぞろいのキーワード採点は、とても利用しやすいものであり、「ある程度」の方にはお勧めです。
ただし、「ある程度」と釘を刺したように、ふぞろいはキーワード採点であるがゆえに注意しなければなりません。

それは、以下の通りです。

  • キーワードを抜き出すことに注意するあまり、解答文章のロジックがお粗末になる
  • キーワードのみを覚えてしまい、過去問題による練習が意味をなさなくなる
  • 本試験などの初見の問題に対し、過去問題のふぞろいで紹介されたキーワードを、何の理由もなしに使おうとする傾向になる

つまり、採点方法が分かりやすいために、受験生が「キーワードさえ書ければ合格できる」という思考に陥り、
診断士として大事な「仮説思考」や「ロジックを意識した説明・考え」、「事例企業を理解する姿勢」をおろそかにしたまま
練習を繰り返す恐れがあるからです。
これについては、中小企業診断士試験のベテランの方であっても多く見られます。
*むしろ、ベテランだからこそ、陥っているのかもしれません。

そうした点もあり、「ふぞろいは、ある事例問題の与件文から、診断士として抽出すべきキーワードや、考えるべき助言内容を検討する上ではよい見本となるが、
あくまで見本であるということに留意すべき」というのが私の考えです。

ふぞろいの編纂には、中小企業診断士2次試験に合格した方々が集まり、数か月の時間をかけて作り上げた知識の集大成です。
その書籍に書かれている内容は、間違いなく受験生にとって役立つものではあります。

ただし、間違っていけないのは、参考書はあくまでも参考書であり、ここに書かれていることがすべてではないということです。
2次試験で合格点を勝ち取るにあたって、必要となる要素は様々あると思います。

ふぞろいは、その中でもとくに、
「2次試験についてまだ始めたばかりの方が、解答をどのようにして作るのか、ということについて解説してくれるもの」
というのが私の考える立ち位置です。


ふぞろいの活用あれこれ

さて、ふぞろいを利用することのメリットと、利用する際の留意点について、私なりの意見を述べさせていただきましたが、
ふぞろいにはキーワード採点のほかにも、細かなところで受験生に役立つアドバイスが組み込まれています。

  • 各ページ下に記載されている、「合格者のテクニック」「受験当日にやったおまじない」「勉強中の息抜き方法」などのショートテーマコラム
  • 合格者の1年間や、試験日当日の行動についての紹介記事
  • 2次試験解答プロセスの基本についてのレクチャー

上記に挙げたことは、合格答案のほかに、合格者の再現答案のみを集めた「ふぞろいな再現答案」、

3年分の合格答案の分析内容に加筆と特別コラムを追加編纂した「ふぞろいな答案分析」などなどございます。

過去問題の試験対策だけではなく読み物として、また合格者がたどった心境や、苦しい場面をどう乗り切ったかなど、同じ受験者として共感する部分もいろいろ見えてきたりします。

2次試験対策のために費やす時間として、8月~10月末までの直前期において、受験生はとくに必死に過去問題に取り組む時期となります。
そうした受験生に向けて、過去の合格者の方が知恵を絞って編纂に取り組んだ「ふぞろい」を片手に、
ひたむきに取り組んでください。

ではでは。