中小企業診断士の1次試験の特性から、過去問の取り組み方を検討してみます。
そして、毎年1次試験に対して高い合格率の弱小企業診断士勉強会の方法も公開します。

中小企業診断士の1次試験はどの科目が難しいのか。

解答は「どれの科目が難しい」というのはありません。

1次試験は7科目ありますが、年度によって科目の難易度が変わります。個人的に得手不得手はありますが、試験として「この科目だから難しい」ということではありません。

試験勉強を始めて、7科目すべてに精通している人は少ないでしょう。絶対的な得意科目がある人もいれば、絶対的な得意科目がない人もいます。

苦手科目が少なく、絶対的な得意科目がある場合は、苦手か科目を絶対的な得意科目でカバーすることも一つの戦略です。しかし、年度によって難易度が異なるため、得意科目で高得点をとれる保証はありません。足元をすくわれないために、自分の実力を過信することなく、強弱はつけながらも、受験科目はバランスよく学習することが必要です。得意科目も全く勉強しないというのは危険です。

 最近では、科目合格されている方でも「7科目全受験」を行う方も増えてきています。

中小企業診断士の1次試験の得点の意味を考える

 1次試験を合格すると2次試験への受験資格がもらえます。合格ラインは60点です。一方で、40点未満がひと科目でもあると不合格です。これから、以下のような得点の意味を持たせていると考えられます。

60点~    
:コンサルタントとして必要な基礎知識を持っている。

50~59点 :入門はしたものの必要な知識が不安定なレベル。

40~49点 :コンサルタントとして入門したレベル。

0~39点   :まだコンサルタントとして入門すらしていないので門前払い。

1次試験の科目の中にも、入門者を試す「低」レベルの難易度から、プロでも難しいと感じる「高難易度」の問題が存在しています。入門者を試す「低」レベルの難易度は、必ず得点源にする問題です。
一方で「高難易度」の問題は、解けても解けなくても合否に関係しない問題です。その間に「合格ために落としたくない問題」「少し高得点をとるための問題」があります。

お手元の過去問題集に、正答率や難易度が記載されていれば、それを参考に解くべき問題と戦略をたてるのが一つの方法です。
「高難易度」の問題は、同じ問題が繰り返して出題されるケースもありますが、理解するのにも時間がかかり勉強時間もかかります。手を伸ばすのは危なっかしい計画となります。

弱小診断士勉強会も受験生主体では、スケジュールを毎年決めていますが、難易度を考慮してスケジュールを決定しています。

中小企業診断士の1次試験の出題形式の特性

 一次試験はマークシートであり、4~5択の中から、「最も適切なもの」もしくは「最も不適切なもの」を選びます。

 与えられる選択肢については、明らかに異なる選択肢だけではなく、別のことを説明している選択肢、一部正解であるが一部が間違っている選択肢、それらしい言葉で惑わせる選択肢を用意しています。一筋縄ではいかないのです。

比較的簡単な企業経営理論H28第8問を例に挙げてみます。


第8問
競争優位の源泉を分析するには、バリュー・チェーン(価値連鎖)という概念が有効である。バリュー・チェーンに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア :差別化の効果は、買い手が認める価値と、自社のバリュー・チェーンのなかで作り出した特異性を生み出すためのコストが同水準になった時に最大化する。
イ :バリュー・チェーン内で付加価値を生み出していない価値活動に関して、アウトソーシングなどによって外部企業に依存する場合、企業の競争力を弱めてしまう。
ウ :バリュー・チェーンの各々の価値活動とともに、それらの結び付き方は、企業の独特な経営資源やケイパビリティとして認識することができる。
エ:バリュー・チェーンの全体から生み出される付加価値は、個別の価値活動がそれぞれ生み出す付加価値の総和であり、各価値活動の部分最適化を図っていくことが、収益性を高める。


正解はウですが、アはもっともらしい言葉を並べています。イもアウトソーシングについて議論する時も、バリュー・チェーンを用います。なんとなく覚えていても正解にはたどり着けないのです。

効果的な過去問の解き方、解いたつもりから定着へ

何度も一次試験の過去問を解いている方や多年度生は、「もう過去問はすでに一通り勉強したし、ほとんど正解できる」という言葉を聞きます。
そして、古い年度の過去問や高難易度の過去問にまで幅を広げます。
単に答え(選択肢の場所)を暗記してしまっていただけ、わかったつもりになっているだけというケースも少なくありません。また、それは仕方がないことです。

弱小診断士勉強会では、過去問を解くときに各選択肢について他の人に口頭で解説するという手法を使っています。
「なぜこの選択肢は不正解なのか?」「なぜこの選択肢が正しいのか」を他の人に解説します。また、選択肢が分かりにくい場合は、後回しにして解くなどの解答順序も解説することもあります。

企業経営理論H28第8問の解説例です。


選択肢アは、よくわからない選択肢です。これは後回しにして、次に進みますね。
選択肢イは、不正解と思います。付加価値を生み出していないところを外注するのは、外部企業の有効活用となります。付加価値を生み出しているところを外注してしまうと競争力弱まってしまいます。不正解です。
選択肢ウは、正解と思います。各活動の結び付きが独特で価値を生みだしているのであれば、他の企業はそう簡単に真似ができません。VRIOの模倣困難性に通じるものですよね。結びつき自体が経営資源といってもいいでしょう。
選択肢エは、不正解だと思います。バリュー・チェーンの全体から生み出される付加価値は単純な総和ではなく、それ以上のものをさします。「部分最適化」も、部分最適ではなく、全体最適が正解です。

では、選択肢アに戻って…(省略)


すべての選択肢を説明のは、以下の効果があります。

  • 問題の正解の場所を覚えていても、覚えていなくても関係なく訓練になる。
  • 1問で4つ以上の知識取得になります。上記ではVRIOも出てきています。時間がかかるようですが、4倍以上の効果があります。
  • 他の人に説明するということは、「おぼえたつもり」というのを排除できます。勉強会に初学者がいれば、初学者でもわかるように解説できていれば理解力はかなり上です。
  • テキストを読む → 問題を解くことで記憶 → 話すことで理解 の3つのステップで記憶の基盤を作ります。これは、知識を利用する2次試験にもアドバンテージになります。

これを勉強会で行う事のメリットがさらにあります。

  • 勉強会には多様な人材が集まります。自分が分からなかったところは、他の専門家の解説が聞ける可能性があります。
  • その場の空気や雰囲気を記憶の足掛かりにできます。「あの人が言っていたこと」というように人物と一緒に記憶すると、いざという時に思い出しやすいです。
  • 「一人でやるとつまらない」を解消できます。

弱小の知識定着ステップ

ポイント

  • 受験科目は強弱つけてもいいが、バランスよく受験勉強をする
  • 過去問の取り組む範囲は、難易度を考慮してスケジュールを決定する
  • 過去問の選択肢すべてを解説することで効果4倍。ザクとは違う。
  • わかったつもりから理解するように、人に解説できるようにする。
  • 勉強会のメリットを活かす。

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