合格体験記(長野)

【はじめに】
弱小勉強会で一緒に勉強を行ってきた仲間の皆さん、特に今年の二次組みでずっと一緒に勉強を行ってきた仲間の皆さん、そして、いろいろな角度でアドバイスや支援をいただいたOBの皆さんに心よりお礼を申し上げたいと思います。

【中小企業診断士を目指した理由】
最初は単に独立をしたい、かっこいい経営コンサルになりたいなど、子供っぽい考えで診断士を目指しました。しかし、この4年間の間に、長年勤めた会社を退職したり、失業期間があったり、リーマンショック後のいちばん困難な時期に就職活動を行ってそして再就職を行ったりする中で、自分の本当にやりたいことは何か、ということをずいぶん考えさせられました。

私は長年小売の世界に身をおいていて、あるきっかけでその世界を離れることになりましたが、やはり売場の活気であるとか、そこで働く人たちが好きでその人たちの役に立ちたいという思いが業界を離れて強く思うようになりました。現場で働く人たちがやりがいを持って働ける職場環境を実現できるお手伝いをしていきたいと思っています。

【受験暦】

一次試験   二次試験    学習環境

平成20年  ○      ACBA    TAC
平成21年  -      BDAA    TAC・弱小勉強会
平成22年  ○      ADCA    弱小勉強会
平成23年  -      ○    弱小勉強会

【一次試験について】

■絞り込むこと
一次については、私は科目合格ほど危険なものはない、と考えています。なぜなら、7科目一度に受かることはきついと考えて今年は4科目にしておこう、とか考え出すと結果一次を通過するだけで予想以上に年月が経過してしまうからです。
私も60点を超えない科目は法務や情報をはじめ多くあり、それを得意な科目で補ってきました。特に私は、企業経営と中小が得意で2回とも80点前後を獲得しています。逆に法務・情報は一度も60点を超えたことはありません。
なので7科目一斉合格を目指すほうが結局は効率的だと思います。

しかし、この試験を受ける人は、社会人の方がほとんどだと思います。一日に勉強できる時間も、1時間あるかどうかという人がほとんどではないでしょうか。そこでやはり、やるところとやらないところをしっかり決める必要があると思います。「戦略とは捨てることである」と何かで聞いたことがありますが、その通りだと思います。
勉強内容は過去問をベースに、どうしてもそれでは理解が出来ないものはスピード問題集を使うぐらいです。

直前期は本当に時間が無く、解きなれた問題を何度も繰り返すことになります。それまでどんなに手を広げてもその直前期に出来る量は限られてきます。
その直前期に出来ないものは、時間があるときにやっても結局理解が薄いので役に立ちません。ならば初めからやらないことです。見極めが大切です。

【二次試験について】
二次についてですが、私の成績は見ていただければ分かりますが、事例ⅠとⅣは比較的安定しているのですが、ⅡとⅢ、特にⅡが全く駄目でした。
事例Ⅱをどうするか、ということを中心に以下のことをこの一年で学びました。参考にしていただければ、と思います。

■バイアスをはずす
事例Ⅱはいつもそうですが、本番が終わった直後は常に「出来た!」と思っていたが結果はD評価ということが続きました。その原因を突き詰めていくと、どうも私は物事を決め付けて考える癖があるようで、例えば人を評価するときも「あの人はああいうタイプだね」と決め付けているところがあるな、と反省しました。事例Ⅱはわりとストーリーが分かり易いだけに、すぐに「ああこういうことか」といった決め付けが自分の中で起きており、出題者の意図から全く外れた方向で考えていたのだと思います。
勉強会で私はこの「バイアスをはずす」ということを一貫したテーマとして取り組みました。よく勉強会の議論で解答に対して、ついつい自分が正しいということを主張しようとしてしまうのですが、それを抑え、指摘された点が理解できなければ、なぜそう指摘してくれたのかを勉強仲間やOBに質問を行い、自分の考えとすりあわせを行うようにしました。これにより、ほかの人の与件の読み方を学び、いろんな角度で事例を見ることができたと思います。

自分がかなりバイアスのかかり易い人間であることを、事例Ⅱを通じて教えてもらったような気がします。結果がAかBかCか分かりませんのでなんとも言えませんが、少しは成長が出来たと思います。

■解答は必ず与件の中に書いてある
例えば、事例Ⅰは与件に根拠が少ない、とか自分で類推して書く必要があるので難しい、という方が多いのですが、私にとっては、事例Ⅰはわりと根拠が明確で各内容も組織、風土、人材育成などに沿ってこたえればそれほどぶれる事例では無いと思っています。要は解答は与件にあります。今年の問の中でも特許の話や経営と所有の分離と、一見一次知識が問われているように思いますが、海外進出の話や新規市場への進出などを根拠に考えれば特許申請しない理由は明確であり、逆に一次知識のみで解答すると(どこかの受験機関の解答でありましたが)、A社について解答していない薄い解答になってしまいます。経営と所有の分離も全く同じです。

逆に事例Ⅱは根拠がありすぎて分かりづらい、というのが私の見解です。

■与件の言葉を使う
「与件の言葉を使う」というのはよく聞く言葉です。でも、この一年を通じて私はこれがすごく大事なことだと思いました。
なぜなら、出題者と我々受験生、また、採点者と受験生をつなぐ共通言語は与件の言葉しかないからです。与件の言葉を使っていない解答は、抽象的で、事例企業でなくとも一般の企業でも通じるような内容に「見えて」しまいます。結果的に同じことを書いていてもです。これは、私が勉強会で自分の文章を指摘されたり、仲間の解答を見ていく中で強く感じた部分です。

■分かり易く書く
事例Ⅲに関しては、対策がみつからず、試験の2週間前に平成22年度版の「ふぞろいな合格答案」をぺらぺらめくっていたら、「ひよこ」というペンネームの方の、事例Ⅲの合格答案が目に付きました。

合格者の方に失礼ですが、これが合格答案?というような内容でした。空欄はいっぱいあるわ、内容もすごく簡潔だし、という感じでした。
しかし、一つ感心したのは「読みやすい」ということです。要は本番では約8割の人がこの読みやすく解答が書けていない、ということが分かりました。
頭の中でこねくりまわして、採点者からみてわけの分からないことを書くのであれば、薄い内容であっても、読みやすく書くことが出来れば乗り切れるかも知れない、と一筋の光明を見出した思いでした。

そして、本番のファイナルペーパーにも「ひよこ」を忘れるな!という一文を大きく載せて、休憩時間にも繰り返し反芻していました。
あまり本筋のアドバイスではないですが、結構重要なことだと私は感じています。
勉強会で議論するときも、あまり細部の議論に行かないようにして相手からみて読みやすいかどうか、ということを指摘しあうことが大事だと思います。

■事例Ⅳについて
事例Ⅳは得意分野でしたので少し強めに。
①       たくさんやる必要は無い
受験生も長年やっていると、受験に関する情報が豊富になり、問題集などあれをやったほうがいい、これも読んだほうがいい、という情報が耳に入ってきます。しかし、財務に関して言えば、これ、と決めた問題集を1冊やれば問題ありません。というよりあちこちの問題集をやるより1冊を何度も繰り返しやったほうが理解が深まり、忙しくてしばらく勉強から離れていてもすぐに思い出すので実力をキープしやすいという利点もあります。
私の場合はTACの「財務・会計集中特訓」という問題集をこの4年間ひたすら解きつづけ、少なくとも20回以上は回転させています。
事例Ⅳは、平成20年から少し難しい傾向が続き、私もH20年、H21年、本番が終わったあと、絶対事例Ⅳで落ちた、と思っていたのですが、蓋を開けるとA評価でした。
なので、去年もあまり出来た感は無かったですが、事例Ⅳは大丈夫だろうと高をくくっていたらやっぱりその通りになりました。

ようは、難しい問題はみんな間違えます。そこに力を割く必要はありません。それよりも簡単な問題を確実に得点できることが必要です。あいまいな理解は本番では役に立たないと思います。
なので脳に刷り込むぐらい同じ問題を繰り返し行ったほうがはるかに役に立つのです。

②       難しいことは決して聞いていない
あと、事例Ⅳの心構えとして、「決して難しいことは聞いていない」と言い聞かせることもすごく重要だと思います。今年の第三問も「これでいいのか?」と不安になりましたが結局は足し算引き算レベルの問題でした。難しく見える問題も実はあまり難しくなかったりします。なので、私は本番でぱっと見難しそうな問題に当たったときなど、呪文のように「難しいことは聞かれていない」と自分に言い聞かせながら解いていました。

【弱小勉強会での成果】
■勉強する習慣をつける
一次も二次もそうですが、勉強をする習慣を身に付けることが一番重要だと思います。弱小勉強会は私にとって非常に良いペースメーカーでした。
予備校だと勉強をしないまま授業に参加しても講義は受けられるので、受講して勉強したような気になりますが、この勉強会では予習なしで来ても得られるものはありません。なので、平日の夜、必死に予習をしてそれを毎日するうちに勉強することが習慣になりました。特にストレート組のときは月曜日から金曜日の間に1科目5年分の過去問をとくので非常にきつかったですが、これが無ければ合格は無かったと思います。
以前、しばらく勉強会に来ていない人が久しぶりに来て「勉強をする習慣がなくなったので、つらい」と言っていました。それを聞いて私は習慣の重要性に気づきました。

■アドバイスをもらう
私のこの一年のテーマが「バイアスをはずす」でしたので、毎週、勉強仲間からいろんな視点で指摘してもらうこと、またOBからの深くて鋭い指摘をいただくことが自分の力になります。

中には、仕事が忙しく勉強会に参加できない人もいると思います。でも、メーリングリストの活用などで客観的な指摘をもらえる場に身を置くことが大事だと思います。

 

以上