谷口 久

2012.12.15
『面壁九年』の取り組み (合格体験記)
谷口 久

1.はじめに
診断士試験に挑戦し始めてから足掛け9年、私は、今年ようやく、2次試験を突破することができました。弱小勉強会OBの皆さん、そして一緒に勉強して下さった受験生の皆さん、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
来年の診断士試験合格を目指す皆さんが、今後の学習の参考としていただくために、普通の人よりちょっと余計に時間がかかってしまった私の、『面壁九年(壁の前に九年間座禅し悟りを開くこと)』の取り組みを紹介します。
まず、次表が私の戦績です(お恥ずかしい限りです)。

※上図をクリックすると最大化され、図全体を参照出来ます。

2.合格するために取り組んだこと
診断士試験は、(諦めずに正しい方法で勉強すれば)誰でも合格できる試験だと思います。しかし、重箱の隅をつつくような問題が出される1次試験や採点基準が示されない2次試験は、それぞれどこまでどのように勉強すればよいのか分からないのが、この試験の対策を講じる上で厄介なところだと思います。
それでは合格するためには、何をどうすればよいのでしょうか? 私が弱小勉強会に入って取り組んだことは次のとおりです。
まず、1次試験の対策から。

(1)1次試験対策
前記のとおり、重箱の隅をつつくような問題(特に法務や中小など)はいくら掘り下げても掘り下げ切れません。したがい、私は、受験生は皆そのような問題を解くことはできないと割り切り、頻出の問題を確実に拾うことを考えました。そのためには、過去問を何回転も繰り返すこと、これ以外にありません。その方法は、他の方々がおっしゃられるとおり、「選択肢が合った」だけではなく、「なぜそれが正解なのか」「他の選択肢はどこが間違いで、それはなぜなのか」を解答・解説を見ないで答えられるようにしなければなりません
ちなみに、私は、一昨年、平均80点を目標にして、過去問5年分7回転、スピ問5回転、模試5社分3回転をこなしました。結果は平均76点でした(5科目の科目受験でしたが)。
次に2次試験の対策です。

(2)2次試験対策
2次試験は、①全体の論理では『全体の方向性』『一貫性(ストーリー性)』、②設問ごとには『戦略レベル』『設問応答性』『与件適合性(活用度)』『論理の妥当性』『多面性』『実現(可能)性』『知識の正確さ』、③文章形式では『論理構成』『文章構成』『読みやすさ(一文の長さ)』が問われる試験です。この中で、重要なのは『全体の方向性』『一貫性(ストーリー性)』『設問応答性』『与件適合性(活用度)』『論理の妥当性(因果関係)』『多面性』『実現(可能)性』です。
これらの力を身に付けるために、弱小勉強会では過去問の事例について、「なぜ」を繰り返して徹底的に議論し、持ち寄ったベスト答案を突っ込み合います。詳しい勉強方法は、先ほどのガイダンスで説明がありましたので、ここでは割愛します。
さて、過去問への向き合い方ですが、初学者の人は一つの事例をじっくりと時間をかけて考えてベスト答案を作っていただくのが良いでしょう。また、ベテラン受験生は、ほぼ事例の内容が頭に入っているでしょうから、早いうちから80分解きに取り組まれるのをお勧めします。過去問をどこまで遡るかについては、私は、平成13年まで遡っておいた方が良いと思います。ちなみに、私の場合、長い間やっていたということもあって、平成13年から平成23年までの各事例を10回以上解きました。これにより、各年度の事例のテーマや設問を覚えることができましたが、そのおかげで本試験の初見の問題でも「これは○○年の論点と同じだ」と、試験会場で慌てることなく落ち着いて対処することができました。詳しい話は後に譲りますが、昨年の事例Ⅲは平成16年事例Ⅲ、今年の事例Ⅱは平成15年事例Ⅱに切り口や解答のヒントがありました

3.失敗に学ぶ(来年2次試験合格を目指す皆様へ)
1年前の丁度今頃、私は極度に落ち込んでいました。昨年の2次試験では事例Ⅳで方向性をうまく出し切れなかったものの、事例Ⅱと事例Ⅲの200字問題ではきちんとマス目を埋めるなど、試験終了直後はそれなりに手応えを感じていました。しかし、結果はダメでした(ABAB⇒B)。過去問解きを通算300事例以上こなしていましたので、このままでは何をやっても合格できないのではないか、とさえ思うようになっていました。
しかしその後、合格者の答案などを見るにつけ、自分の答案が「木を見て森を見ていない」「独りよがりな」「とんがった(強引な?)」答案だったことに気が付きました。そこで、私は、この1年間、とにかく設問一つひとつに入り込まずに(近視眼的な見方をせずに)全体を俯瞰して考えること、与件からきちんと答の材料を拾うこと、普通の受験生が普通に書くような(外さない)答案を書くことを意識して、過去問の反復練習に取り組みました。
さて、今さら申し上げるまでもないことかも知れませんが、残念ながら今年結果を出せなかった方は、今年と同じようなやり方や考え方をしていても、合格は覚束ないのではないかと思います。是非、何が悪かったのかの原因をよく分析して、(やり方を変えるなどして)自分の欠点を克服して下さい。『知彼知己者、百戦不殆(彼を知り己を知れば、百戦殆からず)』です。
また、本試験では4事例のうちどれかで失敗すると、他の事例で挽回するのはほぼ不可能です。したがい、本試験でとにかく全ての事例をうまくまとめる(「どれか一つでこけない」)練習をやっておくことをお勧めします(ちなみに、私は、一日6事例解き(「高地トレーニング」)をやりました)。
なお、事例Ⅳは要注意です。出題の傾向として、今後は計算プロセスが必ず問われる、と思われるからです。その理由は、計算結果だけ書かせていると、数多くの間違い答案から特定の答案だけゲタを履かせるのが難しい、からです。「難しい計算問題は、どうせ、皆できないから」と割り切るのも結構ですが、今から捨てるのは勿体無いです。計算プロセスもしっかりと確認しておきましょう。

4.推薦図書
皆さんは、桑田耕太郎・田尾雅夫共著『組織論(補訂版)』や岩崎邦彦著『スモールビジネス・マーケティング』、E・ゴールドラット著『ザ・ゴール』シリーズなど鉄板の本は、既に読み込まれていると思いますので、ここでは息抜きをしたい時などに一読いただきたい経営戦略に関する本を紹介します。特に、ルメルトの本は、今年2次試験の問題を解く際に、大変参考になりました。
E・J・スライウォッキー (1999) 『プロフィットゾーン経営戦略』 ダイヤモンド社
M・バウアー (2004) 『マッキンゼー経営の本質』 ダイヤモンド社
楠木 建 (2010) 『ストーリーとしての経営戦略』 東洋経済新報社
R・P・ルメルト (2012) 『良い戦略、悪い戦略』 日本経済新聞社

5.おわりに
今にして思えば、いくつもの受験校に通ったり、「現場対応力」が大事だと思い受験校の模試を毎月のように受け続けたり、随分と回り道をしました。もっと要領よく勉強していれば、こんなに長くはかからなかったと思う反面、苦労したからこそ今の自分があるのだと思います。
診断士になった後も思い通りにうまく行くことばかりではないと思いますが、『担雪填古井(雪を担いて古井をうずむ)』(効果が出ないからといって諦めず、目標に向かって地道に努力をすること)の心で精進して行きたいと思います。

以 上

One Response to 谷口 久

  1. 田中清治 より:

    はじめまして。一昨年から診断士勉強始めた59才です。谷口様の体験記に、そうだったのかと感銘した箇所がありましたのでお礼状としてメールします。「普通の受験生が普通に書く答案(外さない答案)」この考えに方向転換されたと。私の知人でストレート一発合格した人とほぼ、同じことを言っているのに驚いた次第です! 谷口様のご活躍を祈念します。

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