はじめに

診断士試験に挑戦して5年目にして新たなスタートラインに立つことができました。合格に導いて頂いた弱小勉強会のOBOGの方々、一緒に戦った仲間、支えてくれた家族に感謝の気持ちでいっぱいです。

振り返れば、ずいぶんと回り道や道草をしましたが、私の経験(失敗)を反面教師として参考にしていただければ幸いです。

1.受験動機

私は企業で知財のマネジメントを担当していますが、仕事上、体系的なMOTのスキル・知識の必要性を感じていました。中小企業診断士の資格には以前より関心があり、どうせ勉強するならば資格取得を目指してモチベーションを高めよう考えました。

2.受験履歴&勉強方法

①2012年 一次試験 3科目合
②2013年 一次試験 4科目受験 不合格
③2014年 一次試験合格 二次試験不合格
④2015年 二次試験 不合格
⑤2016年 一次試験合格 二次試験合格

①2012年

5月から一次試験の勉強を開始しました。当初から独学で3年を目処に合格出来ればよいと考え、先ずは二次試験と関連の薄い科目をつぶそうと経済学の過去問を解くことに注力しました。過去問はなんとか解けるようになりましたが、本試験では歯が立たたず40点にも届きませんでした。敗因は、過去問の答えを丸暗記しただけで理解が不十分だったことです。過去問を解くことは重要ですが、特に経済学、財務会計は丸暗記ではなく理論を理解する必要が有ります。
経営情報、経営法務、企業経営の3科目は、ほぼ一夜漬けでしたが仕事上で馴染みがあった為か科目合格することができました。

②2013年

3月から試験勉強を再開しました。勉強ツールとして主に「通勤講座」を利用し、まさに通勤時間を利用してインプットとアウトプットを繰り返し行ないました。
しかしながら、一次試験は4科目を受験して、いずれも60点に届かずに残念な結果でした。
敗因は、計画を立てずに漠然と勉強をしたために知識にムラがあったことです。

③2014年

1月から試験勉強を再開しました。前年の基本知識の理解不足という課題を踏まえ、スピードテキスト、経済学は石川先生のミクロ経済学、マクロ経済学シリーズで理論の理解、財務会計は簿記3級等、基礎知識から取り組み直しました。結果、4科目とも70点を確保し一次試験を合格することが出来ました。しかし、この年は一次試験の合格で満足してしまい、二次試験はろくに準備もせずに受験し雰囲気を味わっただけに終わりました。

④2015年

一次試験は受けずに二次試験に集中することにしました。二次試験は、やはり独学のみでは勉強方法も分からず、突破は難しいと考え、1月より弱小診断士勉強会に参加しました。
弱小勉強会では、互学互習のスタイルで、徹底した過去問研究、議論を通じて、題意把握、設問要求、解答手順の構築を行ないました。
試験当日はある程度の手応えを持って試験に臨みましたが、結果は合格に至りませんでした。
敗因は、3年前に科目合格した企業経営理論の一次知識不足、白書知識不足もあり、題意把握ミス、与件読み漏らしが発生した為です。やはり、診断士試験では基礎を疎かにしては合格出来ないことを痛感しました。

⑤2016年

1月から勉強を再開しました。基礎力を強化するために、AAS名古屋の「読み書きトレーニング」を受講し、文章作成力と事例を俯瞰する力の強化を図りました。4月~7月までは一次試験の準備に集中し、スピードテキスト、スピモン、過去問20年~27年を3回転、「通勤講座」による移動中のインプット・アウトプットと、これまでになく真剣かつ集中して勉強しました。
一次試験1日目終了時にはかなり手応えを感じていました。しかし、2日目の経営情報で確実に正答出来た問題が5問しかなく焦りましたが、最後まで諦めずに取り組んだ結果、合格することができました。
一次試験の勝因は、目標レベルを設定して計画的にやりきったことと考えます。
直前期には、それこそ時間の許す限り寸暇を惜しんで脳細胞に染み込むまで練習することです。分かる問題を確実に正解する。正誤の判断に迷う問題も、単語のひとつ接続詞のひとつまで注意して、最後まで諦めずに真摯に取り組めば正解率が上がると思います。
二次試験は、弱小勉強会をペースメーカにして、自分の答案と合格者答案の差異分析、模範解答の写経、「2次の知識はこれ一冊」の読み込みに取り組みました。そして、二次試験の一週間前になってようやく「あること」に気が付きました。二次試験は問われ方は違っていても、問われていることは毎年同じだと。そして、自分の課題がはっきりと分かり、今年、もし合格出来なくても来年は確実に合格できると確信しました。こうして精神的に落ち着くことができ、試験当日も気負うことなく事例企業に向き合えたと思います。

3.最後に、僭越ながらアドバイスを少々。

私は、当初独学にこだわりずいぶん道草、回り道をしてしまいました。これから診断士試験に取り組まれるみなさまは、是非勉強仲間を作ることをお勧めします。
一次試験は、点数が勉強時間と密度に比例すると思います。出来る限り集中して勉強すると効果的です。そして、試験当日は、分からない問題も決して諦めずに、最後まで真摯に問題に向き合えば合格できると思います。
二次試験は、事例企業がどうすれば成長していくことができるのか、その道筋を80分という時間制限の中で分かりやすく説明するスキルを問われている試験だと思います。そのためには、基本的な読み書き、一次知識、白書知識、解答手順等を磨く訓練は必要です。そして、事例に取り組むときには、常に”社長の想い”を受け止め、事例企業の経営課題、成長の方向性と道筋を考えることを意識して下さい。クライアント企業に寄り添って成長戦略を一緒に考えることです。

以上、とりとめなく、自らの反省と気付いたことを書き連ねてきました。最後までお付き合い頂きありがとうございました。