弱小診断士勉強会では、この4月に「1次科目苦手克服セミナー」を開催しました。

1次科目苦手克服セミナーとは?

1次試験を約4か月後に控えたこの時期に、高得点経験者が科目への取組み方や勉強のコツを披露するセミナーです。
今回会員へのアンケートの結果「財務会計」「経済学」「経営法務」「中小企業経営・政策」の4科目のセミナーを実施する事になりました。
講師は去年合格した勉強会の執行部2名と現役会員2名が担当しました。
会員の皆様は、今回の苦手克服セミナーを切っ掛けに苦手科目を攻略する糸口をつかんでいただけると幸いです。

セミナーの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

財務・会計

財務会計は去年80点という高得点を獲得した会員が講師を務めました。
財務会計は暗記だけではなく、理解が必要であり、また数学的な要素もある科目です。その為得意不得意が比較的ハッキリしている科目だと思います。
その中で実力を伸ばしていくために「問題集」と「過去問」にしっかりと取り組むことが重要になります。
問題集はTACのスピード問題集やスタディングなど、いくつか種類はありますが、基礎力をつけるために、問題集の基礎的な問題を解いていく事が有効です。
一方過去問は、実際に過去に出題された問題ですので、実戦力・応用力を養うために重要です。
財務会計では過去に出た問題と類似の問題が隔年で出る事が多く、過去問学習の有効性が非常に高いです。

また財務会計の特徴として、タイムマネジメントの重要性があります。
計算問題に時間をとられて、時間が足りなくなってしまうリスクの高い科目です。

  • 初めに全体を見る
  • 悪問はスルーする
  • 計算問題を後に回す

といった対策をとって、時間切れという最悪の事態を避けるようにして下さい。

経済学

経済学は理論的な内容が多く、暗記だけではなくしっかりとした理解が必要な科目です。
経済学においても過去問学習が最も重要です。
過去問をやって、正解した、不正解だったという答えだけ見て終わるのでは意味がありません。
過去問を最大限に生かすには、

  • 問題を解いたら解説をしっかりと読む
  • 論点解説動画を見る
  • 理解した内容を基に暗記カードを作って理解を定着させる
  • 勉強会に出席して自分の言葉で説明する

というパターンでしっかりと理解を定着させていく事が重要です。

経済学の特徴としては、グラフが出てくるので、視覚的に理解する事が重要で、動画でグラフの動きを見たり、自分でグラフを書いたりして理解を深める事が有効です。

また最低限の数学的素養がある事は前提となりますので、そこが身に付いているかどうかはチェックが必要です。

経営法務

経営法務は経営情報システム・中小企業経営政策と並んで暗記3兄弟と呼ばれます。
暗記が必要な科目であることは間違いありませんが、短期記憶に頼らずに法律の制度趣旨を理解する事が重要です。
例年「会社法」と「知的財産権」から6~7割出題され、最重要論点となっています。
知的財産権は、特許権や実用新案権など似た制度が出てきます。それらの制度の違いを覚える必要があるのですが、やみくも暗記するのではなく、なぜそのよう制度の違いがあるのか制度趣旨から理由を知る事で、より理解が深まり、試験本番での対応力も上がります。

また法律の条文を確認する事で、より法律趣旨の理解が深まります。
法律の第1条には目的規定条文が定められており、第1条だけ目を通す事もおすすめです。
基本的には過去問の学習をしながら知識を暗記していくというやり方でいいと思いますが、中々頭に入らないという方は制度趣旨理解の部分が足りていないかもしれません。

中小企業経営・政策

中小企業経営・政策は令和6年度の合格率がわずか5.6%でした。過去のデータを見ても合格率の振れ幅が大きく、安定した得点をとる事が難しい科目です。
経営と政策の2つの分野に分かれるのですが、中小企業経営に関しては、毎年発表される中小企業白書の内容に基づいて問題が作られるため、試験内容が毎年異なるという特徴があります。
一方の中小企業政策の分野は法律・制度に関する分野であり、毎年大きく内容が変わる事はありません。
試験の難易度が乱高下する理由としては「経営」の難易度に影響される部分が大きいのではないかと思います。
取り組み方としては、対策の立てやすい「政策」の方をしっかりと暗記して7割~8割の得点を目指し、「経営」の方で低得点でも全体の得点が大崩れしないという作戦が良いのではないかと思います。
中小企業経営・政策は暗記系の科目で、とにかく問題を解いたり、暗記カードを作ったりして暗記していく事が大切です。

暗記をする上では、自分の「認知特性」を理解する事も有効かもしれません。

認知特性とは、情報のインプット(見る、聞く、読む)から、それを理解し、整理し、記憶するプロセス、さらにそれらを基にアウトプット(書く、話す、表現する)する一連の方法や、その偏りを指します。認知特性は個人により大きく差があるとされており、自分の認知特性を知ることで勉強や仕事などの学習方法に活かせるかもしれません。

1次試験苦手克服セミナーを終えて

今回の1次試験苦手克服セミナーでは4名の講師がそれぞれ、各科目をどのように克服してきたか、また診断士試験全体に対してどのように取り組んできたのか、という4者4様の姿が見え、非常に興味深かったです。
弱小診断士勉強会では、毎週会員が集まりみんなで、同じ過去問に取り組みます。ですが予習の仕方、使用する教材、勉強方法などは当然一人一人みんな違い、それぞれの会員が試行錯誤しながらより良い勉強方法を模索しています。
他の人のノウハウの良い部分を取り入れて、自分自身の血肉としていける人が合格に近づけるのだと思います。
今年も一人でも多くの会員が1次試験を突破できる事を願っています。

令和7年度執行部 渡壁

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