2007年12月30日

Nancyの合格体験記

実は、合格を全く予想しておらず、この現実を受け入れることがようやく出来てきた状態でかつ、自分自身多くの課題が残っている中、アドバイス的なことを書くのもためらいを感じます。私のこれまでの取り組みを具体的に紹介してはとも思いましたが、合格への道は10人の受験生がいたら10人の道があるようにも思うのです。そこで、スタート時点で全科目知識ゼロの状態であっても、前向きに正しく取り組むことでミラクルが起き、2年かかったとはいえ、1次全科目6割超、2次ストレート合格という結果につながるのだということをお伝えできればと思い、こういった視点で「合格体験記」を書かせていただきます。私の取り組みの7割以上は、弱小で、かつ過去問題への取り組みとなっています。

知識ゼロがどれくらいのゼロかという点ですが、1次試験用のテキストはどれも読めませんでした。学歴は専門学校卒(旅行業)、受験経験は中学受験のみ。職歴は、二十歳から海外で就職・生活していたため、日本での職歴は2000年からと短かく、一般常識としての日本での職場環境等にも疎かったです。そのような中で通学を開始し、まずはテキストを丸暗記せよとの指導の元、膨大なテキストと多い科目数に気を遠くしていたくらいのゼロスタートでした。

● 財務会計の壁
弱小でのアドバイスのひとつで、簿記2級を克服に活用しました。3級は受けてません。最初から、2級に挑戦し、未だに受かっていませんが、受け続けました。毎朝簿記の問題を繰り返し解き、簿記試験の直前1~2週間は他の科目の勉強を中断し、全力を簿記に集中させたりしました。おかげで、仕訳やBOX図などを書かなくてもイメージできるようになりました。また1次対策としては、他科目と同様、過去問を何十回も解いたのですが、解説どおりに解くのではなく、少ない計算回数で答えを導く方法を研究する視点で取り組んでいました。計算力が増すというよりむしろ、仕組みを理解して効率よく計算する方法を編み出すというイメージです。06年の1次試験で7割以上とれたのは、この訓練の成果と思っています。

● 暗記科目の壁
企業経営理論のマーケティング、運営管理全般、法務、情報、中小と暗記科目もたくさんありますが、覚えてもスグに忘れてしまうという悩みがありました。最初の頃は「書いて覚えなさい」という指導のもと、ノートの厚み数センチになるほど書いたものの、効果はなく、勉強時間を費やしても何も記憶に残っていない状況でした。しかし、弱小でのアドバイスは、「忘れたらまた覚えたらいい」という全く違った視点からのものでした。この1点で全科目突破できた感があります。繰り返し学習を大切にしました。人の脳は忘れるようにできていて、また忘れる周期があって、1日、1週間、1ヶ月という周期なのだという話も聞きました。このいわゆる忘却曲線に対応すべく学習計画を再設定しました。例えば、今日勉強したことを手帳などにメモっておき、翌日、1週間後、1ヵ月後に復習をするようにしました。逆に、今日の勉強メニューは、あらためて考える必要はなく、昨日、1週間前、1ヶ月前にやったことの復習をまずやるといった具合です。復習だけで終わってしまうことも多かったですが、知識の定着化には抜群の効果があり、結果として2次試験に必要な1次知識の蓄積にもつながったと感じています。

● 事例問題との対峙
「与件情報をよく把握し、整理して理解し、分析・提案する」ことが求められる2次試験には、1次の勉強と違い、その勉強法に唯一のものはなく、人それぞれの方法があるように思います。だからこそ、「弱小」の場を活用した議論で自分の偏った思考を柔軟にしたり、いわゆる「宇宙の彼方」に飛んでいってしまっても、事例の箱庭の中に戻ってこれる思考の訓練をすることができたと思います。

【何を信じるかが大切】
過去問の模範解答、合格者答案など、どれも同じものはない中、迷うことなく1点を見て学習をしていくにはどうしたらいいか? 弱小では、出題側は1つの答えを想定しているとしてベスト解答を目指す学習をやっています。異論反論が飛び交う論点かも知れませんが、「自分は何を信じて勉強するのか」の指標として、私も答えはひとつだと信じることにしました。その一つの解を求めるために、いろんな角度から過去問題を読み、解き、考え、弱小で議論しました。「イカ味の揚げせんべいをよく噛んで食べると味がよくおいしい」のと同じ感覚です。
【目標としたい解答】
数ある合格答案の中から、2つ、大好きな合格答案を見つけました。H15年合格の北口さん(女性)とH16年合格のうまとらさんの解答です。弱小会員の方はブリーフケースに保存されているので、よかったら読んでみてください。お二人の解答は、難しい専門用語は一切使っておらず、とてもわかりやすく、それでいて診断士らしい説得力を感じたからです。いつか、こんな風に書けるようになりたいと思っていました。もちろん、2次試験当日、この二つの合格答案を持参しました。今日の自分はどこまでこの二人に近い答案が書けるだろうかと、そんな気持ちでした。
【あるべき解答像】
1企業につき80分で診断しなければならず、設問等で制約が設けられ、文字数の制約もある。そして本試験で診断する企業はたったの4企業である。実質この筆記試験のみで能力を判定される。数多い中小企業を診断するための能力を身につけているかを判定するための試験で、こういった設計になっていることの意味を考えるよう、何度も前会長のトシキさんからアドバイスがありました。求められている診断士像を過去問を通じて模索しながら、自らが描いている診断士像を少しずつ重ねていくイメージかなぁと解釈しています。また、いろんな診断士の先生方にも診断士って何をする人?という質問をしたりもしました。ある方が、会社の内部に光を当ててあげることとおっしゃっていました。業界情報や技術ノウハウなど、診断士が企業の社長や社員に勝る情報や知恵を持ちうることはきっとなく、ひょっとするとそのようなことはそもそも求められてもいないのではないか。逆に第三者という立場だからこそ、客観的な視点や、多面的な視点で企業の内部に光を当てる。診断企業の宝物を探してあげる。新しい風を吹き込んで一緒に深呼吸するようなことができると思いました。小手先の理論をかざして、一体誰がうれしいのだろうか?この点においては、今年の「出題の趣旨」を見て、少し近づけたかなと思いました。

●弱小との出会い
H17年8月からTBCに通学しはじめ、10月にはすっかり落ちこぼれていたのを自覚し、少し悩んでインターネットで検索して弱小ホームページを見つけたのがきっかけです。説明会まで待たずに、すぐに連絡を入れ見学させてもらい、その日のうちに入会を決心いたしました。決心するとまっしぐらな性格なため、翌週から毎週土曜日は弱小にいく生活がスタートしました。1次受験生同士(通称1次組)で過去問を回転させるスケジュールをたてて毎週参加し、夜ベロでは特に苦手な情報や財務、経済などを仲間から教えてもらいました。残念ながらH18年1次試験は総合点は430点で合格ラインを超えたものの、経済学が36点でアシキリという残念な結果に終わってしまいましたが、それでも2年目の挑戦に向けて、1次試験後すぐに2次の学習を開始し、2次組の先輩方から多くを学ばせていただきました。そして今年H19年は経済学1科目と2次試験への対策が必要でした。1月~5月までは教えることのプロから、読み・書くことの基礎を仕込んでもらいたいという目的意識を持ち、MMCへの通学を並行させました。6月~1次試験までの間は経済学のみに集中するため、通学は中断、弱小では1次組に合流(といっても一人の日もありましたが)しました。結果、なんとか2次試験への切符を勝ち取り、8月から再度MMCに通学を再開、弱小では「超弱小隊」を結成し、1次通過組中心でチームをつくり2次の勉強を再開いたしました。直前期、9月頃から、途端、書けなくなり、落ち込み、スランプに陥った時期がありました。書く勉強を中断してしまいました。書かない代わりに、本当に本番ですべきことは何なのかということを考え、“学んできたノウハウの実践”ではなく、“自分仕様のノウハウの構築”をすることができたように思います。その上で試験当日は、100%自分自身を諸ルールから解放してあげました。そうすることで、素直で自分らしい解答、上述の思い描いたあるべき解答像に向かって全力を出すことができました。試験後、自分自身で想定していた合格レベルにはまだ到達できなかったと感じ、不合格を確信してしまっていたのですが、結果として800人以内に入ることができていました。

弱小では、一貫して勉強の仕方を教わってきました。基礎知識の蓄積や応用、最後の底力を振り絞るための体力作りをさせてもらいました。皆さんも、弱小に合格をかけた信念をもって参加頂き、切磋琢磨して、合格を勝ち取ってください。
心の底から応援しています。
以上