こんばんわ、山本尚幸です。

本日のテーマは、2次試験でもとくに事例1対策で重要視されるテーマです。

「「社長の思い」がなぜ重要なのか」

私は過去において、個人的に「社長の想いなんて、経営戦略に関係のないこと」と軽視していました。
実際に会社で働くのは社員が圧倒多数ですし、彼らの能力がモチベーションが高ければ事業はうまくいくもの~という考えがあったからです。

ですが、いくつかの企業を実際に診断する中で、また自身も一企業(いわゆる中小企業でもありました)の社員として身を置く中で、この「社長の想い」によって会社組織の機能・効率性や社員全体の士気・能力がどれほど変わってくるものかを実体験するに至ったのです。

組織は、人が集まって形成されるものです。
そして、人は個々に想いや考えがあるため、それらが完全に一致することはまずありえません。
そうした集団が個々の目的にばらばらで動いてしまうことは、非効率であったり、場合によっては内部で衝突して余計なロスを発生させます。

だからこそ、組織をまとめ、一つの方向性に導くリーダーシップと、そのリーダーが掲げる「ビジョン」や「目標」に向けて、組織全体がひとつにまとまっていく働きが必要なのです。
*ただし、ここで上げた「ビジョン」や「目標」と、「社長の想い」は異なるものと考えております。

こうしたリーダーシップと組織の関係について学ぶためには、下記の書籍がおすすめです。

こちらの書籍では、「エージェント理論」において、プリンシパル(=リーダー)とエージェント(=社員)が異なる利害関係であった場合、それぞれが求めるメリットが得られず、最適状態が達成されないという点について述べられています。
組織が一丸となってより成果を生み出していく上で、リーダーがきちんと道を示し、社員がそれを理解し納得して進むことが、両者にとってよりよい結果を生むということを示しており、そのためには互いの情報交換と理解が必要であることを示しています。

この書籍が示唆することとして、とくに日本企業での組織は「タテ社会=年長者が敬われ、その下に能力ある部下が連なる組織」が意識され、企業という「場」に重点を置かれていることがあげられます。
対して、海外企業や近年の日本の新興企業組織で見られる「ヨコ社会=資格や能力により、互いの利害関係で成り立つ組織」においては、ここメンバーの「資質」や「能力」が最も重要視され、年齢等に関係ない公平性や納得性が重要視されます。

従来の日本企業のタテ社会において、リーダーは社員の行動を方向付けるためのロジカルな「ビジョン」や「目標」よりも、社員からの感情的な共感を得るための「社長の想い」に重点をおくことで成り立つ組織である~、という様子が見て取れます。
そうしたこともあり、いわゆる従来からの日本企業を対象とする中小企業診断士試験においては、「社長の想い」というものがその会社を構成する社員をうまく動機付けするための重要なファクターであるという考えに行きつきました。

一方で、今後の実際の企業経営においては、リーダーはロジカルな目標立案と、社員からの協力を得るためのエモーショナルな経営方針の両方をバランスよく兼ね備えることが必要なのではと、思ってます。
いわゆる老舗企業が減っていることや、新しい体系の企業組織が成長していっているからです。
そうした意味で、診断士が求められる能力や役割、重要視する部分についても、より現状に即したものを取り入れていくことにシフトしていくものと思います。

何よりも大切なのは「自分の経験だけにとらわれず、目の前の企業に最も即した診断・助言を行う姿勢を身に着けること」です。

ではでは。