はじめに

勉強を始めたのは、ずいぶん前になります。最終的には、1次試験に3回合格し、2次試験は、5回目の受験(平成26年)で合格することができました。2次試験の成績は、「Aが1つ、Bが2つ、Cが1つ」というのがおよそのパターンで、「事例ⅡでC」を取ることが多く、この傾向は、合格するまでほとんど変わりませんでした。

平成26年の2次筆記試験終了後も「できた」という感覚はほぼなく、「今年もまだダメだったか・・・」。これが正直な感想でした。2次筆記試験の合格発表日は、昼過ぎに恐る恐るWEBサイトを確認しました。合格です。この時は、とても信じられず、数十回は照合を繰り返しました。合格できたら嬉しさがこみ上げるのかと思っていましたが、既にその域は超えており、「ようやくか」という気持ちの方が強かったように思います。

1. 診断士の2次筆記試験は「紙一重」

平成26年度の2次筆記試験は、受験者数:4,885名、筆記合格者数:1,190、筆記試験合格率:24.4%でした。過去2次筆記試験の合格率は、18.5%~25%で、900人~1,200人程度が合格することになります。仮に今回の合格者の下位300人を全て不合格にした場合、合格率は18.2%になり、合格率が許容範囲よりも低くなります。逆に300人を合格にすると許容範囲である25%内に入ります。つまり、300人が同じ得点だった可能性があります

中小企業診断士の2次筆記試験は「紙一重」です。1点差で合否が決まる、今は合格ラインでなくともそのすぐ先には合格がある、1点を大事にすること、それを理解して取り組むことが絶対に必要です。

2. 1次試験のポイント

「1次試験は怖い」これをまず、意識する必要があります。私は、1次試験を初めて受験した時に悪夢を経験しました。経営法務の1問が届かずに足切りにあってしまったのです。全科目合計は合格点に達していましたが足切りで不合格です。この時の悔しさは一生忘れられません、そしてこの試験の恐ろしさを知りました。

1次試験で重要なことは、「過去問を何度も解き、頻出の大事な論点は必ず得点できるようにすること」です。そして、「努力した(時間をかけた)科目は必ず得点が伸びる」ということだと思います。

受験の戦略としては、①どの科目でどれだけの点をとればよいのか、勝負科目はなにかを決める、②得意科目があればそれを伸ばし、科目合格していても免除しない、③夏休みは、すべての力を1次受験につぎこみ1週間集中特訓する、ことかと思います。

3. 2次筆記試験「今年になってわかったこと」

2次筆記試験では、いくつかの重要なことに気づくと、合格が見えてきます。それは、「毎年、問われていることは同じ。問われ方が違うだけ」「与件にある課題には、必ず答えなければならない」「事例Ⅳこそ与件本文が大事」「事例Ⅳは優先度を見極めて解く」などです。

自分にとって、平成26年度(合格年)でキーとなったのは、事例Ⅳだと思っています。事例Ⅳは、決して得意ではないのですが、唯一手ごたえがあり、「事例Ⅳのアドバンテージで、他の事例が大崩れしていないこと」今回、合格できるとしたら、このパターンしかないという状況でした。今回事例Ⅳは、第3問→第1問→第4問→第2問の優先度で解きました。これが部分点を含めてこの時点でできる力をほぼ出し切れ好結果に繋がったと考えています。

4. 勉強会は、「同じ目標を持った人格者の集まり」ここで学んだこと

弱小勉強会は、私にとって、「パワースポット」、そして「モチベーション維持」にとても役立ちました。なによりも来ると安心できる楽しい勉強会だったように思います。

勉強会の活用方法としては、1次試験対策の良いペースメーカーになりました。参加するには、必ず予習が必要なので勉強会のスケジュールについていくことで、課題をこなしていくことができました。そして、勉強会のファシリテータになることで、診断士として必要なアウトプット能力も向上したと思っています。

弱小勉強会の1次試験合格率は、60%以上です。受験者全体の合格率は、23%程度ですから、非常に有効な学習ができているということが言えるのではないでしょうか。

私は、1次対策中心で勉強会を活用していましたが、2次試験対策として「その場とき+議論」を有効活用しました模擬試験等は一切受けませんでしたが、80分の練習や議論で発言することがよい勉強になったのだと思っています。

弱小勉強会では、単に受験対策をしているだけではなく、それ以外にも勉強会という組織の運営や考えさせられるようなアドバイスやノウハウをたくさんいただきました。

例えば、弱小勉強会では、「コミットする」ことが求められます。それは、会への貢献でもあり、勉強に対する宣言でもあります。この「コミットする」は、自分に最も足りないことだったと気づかされました。コミットするとは、「有言実行」のようなものですが、これまでの私の考えは、「不言実行→有言実行→不言不実行→有言不実行」で考えていました。しかし「不言」ではダメなことがたくさんあるということを学びました。

その他、(1)診断士は「人や組織を動かすことができる人、働きかけのできる人」、(2)人間力を高めるために「専門性」「対人間関係力(説得力、共感、意思力、判断力)」「文化・教養」を持つこと、(3)診断士は、支援される側(指示待ち、自己中心)ではなく、支援する側(自発的、何とか解決しよう)である必要がある、(4) 診断士として、プロの領域に入っているか?そのために、問題解決への「切口」を持ち、感覚的判断が論理的に裏打ちできているかが重要、(5)挑戦し、経験している人が何かを得られる などを学びました。現在でも道半ばですが、こうしたことを意識していることが大切と考えています。

以上

2件のコメント

松下秀雄 · 2021年8月22日 9:13 PM

貴殿の記事が目に留まり拝読させていただきました。今年11月に2回目の2次試験をラスト機会として受験すべく、わざわざAASの通信教育を受けながら背水の陣で臨んでおります。
仕事は技術系コンサル会社の正社員で64歳、技術士資格を有しております。
2次試験では貴殿の過去と同じく事例IIが苦手です。マーケティング手法や戦略に経験が無く、80分で上手く発想できないのが原因です。得意ではないですが、好きなものは事例4の計算と経営分析、その次に事例3、事例1の順です。理由は現役時代に直面していたからと考えます。
貴殿と同じように今年は事例4が組み易くないと、また敗北だろうと思います。平成26何の事例4を見ましたが、貴殿の解かれた順序での攻略です活路が見出せます。今は、たくさんの時間を使って過去問を反復していますが、それでも本番の現場対応は事例2をいかに耐え凌いで、易な事例4に助けられて合格を勝ち取るしかありません。出来れば、診断士プラス技術士の二刀流でユニークな仕事をしたいのですが。
貴殿の記事は本当にリアルで共感できました、ありがとうございました。

jakusho · 2021年8月24日 12:52 AM

本記事(体験記)に共感してくださったとのことで、大変うれしく思います。誠にありがとうございます。

事例Ⅱは、私も松下様と同じで「80分で上手く発想できない」状態でした。もし、松下様がご存じでなければ、とっておきの攻略方法があります。それは、ほとんどの場合、与件本文には、事例企業の「成功体験」が書かれていますので、そのロジックを応用して、設問に解答することです。私の場合、この攻略法のおかげか、あまり得意でないはずの事例Ⅱで一番高得点をとることができました。

事例Ⅳは、もうすでに実施されておられますが、過去問の反復が有効だと思います。また、優先度を考える時間をとるのもおすすめです。事例Ⅳのタイムマネジメントは、「与件・設問読み(10分)→優先度検討(5分)→優先度順に解く(45分)→一旦ここで冷静になり、残りの時間配分を再検討した上でラストスパートをかける(20分)」としました。経営分析と記述問題は優先度は高めにして良いと思います。経営分析の指標は、与件本文と設問の内容から逆算で特定できます。あとは、難しい問題が出たほうが、皆ができないので差がつかないのでよいという逆の発想もありますので、問題の難易度はあまり気にされないほうがいいと思います。以上、よろしければご参考ください。

それでは、今年、是非とも合格を勝ち取れるようがんばってください!